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271,656種の7音パッタ
「22,638の7音ニシュターナ」で述べた各ニシュターナは、全て、主音の高さを様々に変え、移調して用いることができる。主音の音高について半音刻みで12種類を数えた場合、移調してできた調の合計は、271,656種類となる。それらの調のそれぞれを、ここではパッタ(paṭṭa)(文字通りには「習字板」の意味)と呼ぶこととする。そこに様々な図形(音型)を描いては消せるからである。
パッタの呼び方・表記法
各パッタを呼ぶときは、各ニシュターナを特定する呼び名の前に、主音の音高に応じた下記の音節を冠して呼ぶ。
表の一番下の段は、ニシュターナの記号と組み合わせて書く場合の略号であり、例えば、ハウ=パセー=アス(¥kh$au pas@e as)(「ハ長調」に含まれる旋法の一つ)ならば、「X-pas@e-as」のように書けばよい。もしもジャウ=パセー=ハル(j$au pas@e hal)(C#DD#FF#A#BC#という形の調)ならば、「J-pas@e-hal」となる。
C | C♯/D♭ | D | D♯/E♭ | E | F | F♯/G♭ | G | G♯/A♭ | A | A♯/B♭ | B |
ハウ | ジャウ | サウ | ラウ | ガウ | ヴァウ | チャウ | マウ | タウ | パウ | ダウ | ナウ |
¥kh$au | j$au | s$au | r$au | g$au | v$au | ch$au | m$au | #th$au | p$au | dh$au | n$au |
X- | J- | S- | R- | G- | V- | C- | M- | T- | P- | D- | N- |
このように主音の音高を冠する呼び方は、ラーガやその他様々な旋法にも適用できる。
西洋音楽のシステムとの比較
西洋音楽の調の表記と比較すると、日本語のイロハ式の場合、「ハ長調」、「変ホ短調」というように、筆記にかかる時間、読むときの時間とも、移動サのパッタの呼び名とほぼ同じである。しかし、イロハ式のシステムでの西洋の調の名前が、全てで30種類(いわゆる「異名同音」関係の調を同一と数えると実質24種類)しかないのに対し、移動サを応用したパッタの呼び名のシステムでは、271,656種類と、まさに桁違いの表現力がある。
西洋音楽用語としても、短音階を3種類(「自然短音階」「和声的短音階」「旋律的短音階」)に分けて数えるなどすれば数が増えるが、移動サの方でも、仮に、主音の音高を四分音刻みで数えれば、それだけで調の数は543,312種類に倍増するのである。
表記が他の記述と紛らわしくなる場合には、音度名と同じように、独自の記号を用いることもできる。
(最終更新2010.10.5)
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