サンスクリット

注:このページでの外語表記は、場合により次の原則に従っています。また、記述の多くは、これらの参考文献や辞典に拠っています。

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学習参考文献

日本語での文法書辞書英語での文法書文字その他


●日本語での文法書

日本語でも、もともと複数の文法書があったが、1990年代以来、諸先生によって新著の刊行が続き、中規模の学習人数を持つ他の外国語並みに、様々なスタイル・切り口の学習書が揃ってきた。私も全ては追っていられないので、書店で実物を見たりネット書店で書評を読んで、じっくり選んでいただきたい。下記はあくまで参考である。初版について語っていることは、後の改版で改められていることもある。

菅沼晃「新・サンスクリットの基礎<上・下>」「新・サンスクリットの実践」平河出版社

私見では、「基礎」は上下分冊ではあるものの、現状では最も中庸を得て、独学者にも分かりやすい文法書。解説の親切さや参考文献の新しさ、辞書の使い方の説明等に優れる。さらに続編にあたる文論「新・サンスクリットの実践」が、十数年来待望されていたが、2012年12月にようやく上梓された。構文と各品詞の用法について詳述している。また他にも、参照個所を逐一示した講読書(菅沼晃「サンスクリット講読」平河出版社)や、文論(二宮陸雄「サンスクリットの構文と語法」平河出版社:他の印欧語との対照が豊富)が以前から刊行されているという点からも、長く用いやすい文法書の一つと言える。

難を言えば、少なくとも私の所有する版では少なからぬ誤植があり、特に下巻では全体にわたり数ページに一個所の割で見出される。誤植は、豊富な語尾変化表や解説の相互比較から十分発見できるものが多いが、確実さの点では、版を重ねた下記辻文法に依る方が安心できる。インド伝統文法用語を取り込んでいるが、全体の構成は品詞ごとで組織的であり、デーヴァナーガリーの説明も十分にあるが、文法はローマナイズ表記で解説してある。

なお、1980年刊行の「サンスクリットの基礎と実践」は、本シリーズの元で、旧著にあたる。

平岡昇修「サンスクリット・トレーニング<1~4>」及びその姉妹シリーズ・世界聖典刊行協会

「トレーニング<1~4>」は、かなり大部のものだが、全面的にデーヴァナーガリーとローマナイズが並記され、非常に豊富な練習問題が特徴。説明の順序は各品詞入り乱れて簡単なものから進む。全編に渡って、語彙の書き取りから、文法のドリルまでできるので、机に向かう時間の十分取れる独学者には、とても重宝する。特に1~3は判形が大きく「練習帳」的で、持ち運んで学ぼうとするには向かない。第四巻は、基礎文法項目暗記用兼有名な詩節等を載せた小冊子と、それを読み上げるCD2枚で構成される。音読したものの音源としても重宝。

この第四巻について、CDに、「左右のスピーカーで同時に別々の順序、つまりインド本来の順序と日本の普通の順序とで活用表を読み上げる」という荒業を行うという難点があったが、CDの2枚目を二種に分けた版が「新 サンスクリット・トレーニング4」として刊行された。旧版の定価が8,800円(本体価格)だったのに対し、技術の進歩により、新版が2,500円(本体価格)となっているから、値段に気圧されていた方々にも朗報である。更に、旧版を購入していた方々には、より安価でCDの二枚目の分割版だけを買えるサービスがあり、それについては著者サイトを参照のこと。

もう一つの難点は、第一巻の冒頭に、文字の説明がなく、発音の説明もごく簡単なのに、すぐにデーヴァナーガリーを使ったトレーニングに入ること。実は第一巻巻末にもう2頁分図表があるが、それでも入門者には不親切。トレーニングを謳うなら、文字の書き方だけを順次トレーニングできる頁が欲しかったところ。(※この難点は、2008年、下記「初心者のためのサンスクリット文法1 CD付き」の刊行という形で補われた。)

練習問題に正解例が付いていないのも難点の一つだったが、2004年春、練習問題の解答編と語彙編を含む続巻「サンスクリット虎の巻」が刊行された。また、2005年、「虎の巻」から語彙編やサンディ表を抽出して「虎の巻」に対する正誤表をつけた、「初心者のためのサンスクリット辞典(Sanskrit Dictionary for Beginnners)」が刊行され、更に便宜を増した。(但し、この「初心者のためのサンスクリット辞典」は、シリーズの中で唯一、デーヴァナーガリー表記を実質的に使用していない。)

加えて2008年、「トレーニング」の初等文法項目を一冊に抜粋してまとめた「初心者のためのサンスクリット文法1 CD付き」が刊行された。こちらは発音や文字の説明・練習から始まり、コンパクトな形で全品詞の初等文法が一覧できるだけでなく、安価な割に類書より詳解されている項目も少なくない。また、発音参考用のCD(内容はトレーニング4の発音編冒頭と同じ)が付けられている。用語説明の登場順が前後する部分もあるが、複数回通読すれば問題なく分かるはずである。続編の「初心者のためのサンスクリット文法2」が2012年12月に出版。その内容は「文法1」の語彙索引(語根や活用形ごとに別見出し)と、詳細な目次、文法索引、および訂正表である。

J.ゴンダ(ホンダ)著・鎧淳訳「サンスクリット初等文法」春秋社

授業などではスタンダードに使われるものの一つだが、かなり簡便であることと、誤解されやすい記述があることから、独学者が最初から使うと疑問が残ると思われる。ギリシャ語等に相応の知識を持っている人が使う分には別。これも、同じ著者・訳者による講読本(「サンスクリット叙事詩・プラーナ読本」法蔵館)がある。上記、二宮「構文と語法」も、この書との参照関係を付している。

練習問題に正解が書かれていないのも独学者には問題だったが、個人のボランティアにより、WEB上に会員制でそれらの情報を提供するサイトが登場。

辻直四郎「サンスクリット文法」岩波全書

昔から、中級者以上でないと理解しきれない高度な内容を持つ文法書として著名。大学等でも最もスタンダードで、信頼性が高い。百科全書的でなく、狭義のサンスクリットにターゲットを絞って、上手にコンパクトに納めている。即ち、高度とはいえ、上述三書と同じく、ヴェーダ語独特の文法などには全く触れていないので注意。

本書には練習問題が無いのも特徴だが、同著者による講読書に「サンスクリット読本」(春秋社)がある。しかし、こちらはやや手に入れにくく、古書店をあたるのがよいと思う。

A.Vidyalankar,中島巖,共著「サンダハンの入門サンスクリット<上・下>」東方出版

2002年初版。下記の東方出版の辞典「基本梵英和辞典」の姉妹書である。

最初からほぼ全面的にデーヴァナーガリー表記によっており、各課ごとの練習問題をつけ、現代サンスクリットをも視野に入れた、言語としてのサンスクリットの速やかな習得を目的にしている。ただ、デーヴァナーガリー表記は、日本人にとって文法規則の把握にはかえって障害になると思われる。文法事項の無味乾燥な羅列をなるべく避け、例文を多く載せながら、実用上必要な順序で覚えられるように工夫されている。各問題には解答もあるので、独習にも十分に便利である。

下巻には、仏典を含む古典のテキストが読本として載せられ、いわゆるヴェーダ語であるヴェーダのマントラから、仏教混交サンスクリットの法華経寿量品、さらにはパーリ語の「法句経」にもサンスクリット対訳を付けつつ載せているのが驚きである。

ただ願わくは、これももう少し文字の大きさを小さくしておけば、持ち運びに便利な版ができると思われるのであるが。

さらに、この教材にCD音声教材五枚などを加えた通信教育講座も開かれている(2003年現在、特別教材費+受講添削料80,000円、三年間)。このCDは、一通り文法を学んだ人でも一聴に値する。また、学習成果について添削を受けられる。短期間の合宿など、A.Vidyalankar教授自らが来日してのプログラムもある。

湯田 豊「サンスクリット文法 ―古代インド語のプロムナード―」大学書林

「一般の人々の自習用のサンスクリット文法の入門書」(同書より)。2007年初版。

デーヴァナーガリーとローマナイズ表記を終始併用する、日本語による一冊にまとまった初等文法書は、下記山中「文法入門」に続いて二作目となる。そして、この湯田文法のほうが正統的かつ遥かに本格的である。変化表も見やすい。初版時につきものの誤植は残すが、それも山中文法のようには目立たない。まとまった撰文はないが、練習問題文はかなり豊富にある。全品詞にわたる語彙集がない代わりに、主要動詞のみのリストがある。文法説明はヨーロッパ的であり、古典初等文法の基礎部分に特化していて、独自の工夫と思われる文法用語も若干見られる。音源などはない。

上製本で、値段は初版時税抜9,500円。因みにこれは現在、岩本綱要に比べて六倍以上、ゴンダ文法の四倍弱、辻文法の三倍半以上であり、菅沼文法上下巻を買うよりも約四割高である。音源CDつきの平岡「トレーニング」シリーズを四巻まで揃えるよりは若干安いに過ぎない。

吹田隆道「実習サンスクリット文法 ~荻原雲来『実習梵語学』新訂版~」春秋社

本書の元になった荻原雲来「実習梵語学」は大正5年に明治書院から再刊され、戦後まで広く使われた文法書であった。それに対し、文体を現代語に改め、インド学全体の進展に伴った増補や改訂を加えて、2015年に出されたのが本書である。ローマナイズを用いて初級者を意識しあまり細則に及ばず文法を解説し、第4章から第5章(名称詩の曲用と動詞の活用の章)に演習題を挟む。デーヴァナーガリー表記と、よく使われる韻律については文法の終盤で言及するが、アクセントについては含めていない。巻末に選文とその読解用の語彙集、付録として、学習者が各自で文法表をまとめるための各表形式の見本が付く。演習題や選文への解答・解説は付いていない。

上村勝彦・風間喜代三「サンスクリット語・その形と心」三省堂

2010年に出た。上村先生の遺稿をもとに、風間先生がまとめたもの。題名に「文法」とは書かれていないが、本格的な文法入門書である。

榊亮三郎・工藤成樹「新修 梵語学」永田文昌堂

もとが明治に出た本だけあって、内容構成も、文法術語も非常に個性的な印象を受ける(子音の代わりに「父音」というなど)。但し、例文から語彙集まで揃い、十分理解可能。初刊は、京都真言宗高等中学校から。

岩本裕「サンスクリット文法綱要」山喜房佛書林

教室での教科書用に編まれたという点では上記のゴンダ「初等文法」に似るが、それ以上にコンパクト。各文法書のうちで最も軽小だったが、2020年に文庫サイズの下記下宮忠雄訳・マイルホーファー文法が出たので、状況が変わった。同じく岩本博士の手に編まれた「サンスクリット文法」から要約したテキストである。岩本「文法」の方は、今絶版らしいので、古書店でよく探さないと見つからないのではないかと思う。

M.マイルホーファー(マイヤーホーファー)著・下宮忠雄訳「サンスクリット文法 ―序説、文法、テキスト訳注、語彙」文芸社

訳序によれば「この日本語訳は300部印刷だが、出版というよりも自分のために訳したようなものである。」とのこと。訳者は原著の初版を愛しており、初版をもととした訳本である。
 文庫サイズで、しかも、序文からあとがきまで含めて106ページしかない。それでいて、文法全般に及ぶばかりか、テキスト(古典の文例)や語彙集も含んでいる。ローマナイズ表記で、デーヴァナーガリー文字については簡潔な紹介のみ。現時点で、最もコンパクトな文法書。
 想定読者は、英語やドイツ語を知っており、ラテン語や古典ギリシア語の素養がある、印欧語比較文法に関心のある人。原著がドイツ語であることを念頭に、行間を読む必要がある。

石井裕著「ニューエクスプレスプラス サンスクリット語」白水社

生きた言語としてのサンスクリットの習得を目指し、会話を視野に入れて、一般的な現代語の語学と同様の構成をとる入門書。日本人女性がインドの大学に留学している設定の会話文で学ぶ。インド人による朗読のCDが付属。

A5版・163ページのコンパクトな体裁だが、基礎文法事項はきちんとバランスよく押さえられており、練習問題や語彙紹介も各レッスンごとに設けられている。これだけの内容を、挿絵なども載せながら読みやすい文字サイズでこの紙幅に収める編集技術は実に素晴らしい。文字表記はデーヴァナーガリー文字で、文字と発音の解説は巻頭にあるが、書き順の説明や書き取り練習まではない。

旧来、サンスクリットの学習書は、古典の読解に注力するものばかりであった。近年になって、作文練習を豊富に含むもの、詠唱を目的に発音を重視するものなど、より多様なニーズに応じた出版物が続々と出てきたが、会話を主眼にして古典の引用を載せない入門書は本書が初であろう。インド文化やデーヴァナーガリー文字に多少の馴染みのある人が、サンスクリット学習の初めに本書を手に取り、その後でより詳細な文法書に進む想定か。

涌井和「サンスクリット入門 般若心経を梵語原典で読んでみる」明日香出版社

「般若心経の梵語を読むことに特化したサンスクリット入門」(同書より)。文法事項を網羅しようとせず、概説と最低限の文法説明で般若心経の講読に進み、同経小本・大本両方の対訳と注釈とが相当部分を占める異色の入門書。本格的学習への橋渡しの章もある。

佐藤信夫・山中元「新版 サンスクリット文法入門―般若心経、観音経、真言を梵字で読む 古代の歴史ロマン(6)」国際語学社

下記の旧版があまりに特異だったためか、2010年に登場した改訂新版。南アジアが専門の中心ではない先生が書いていることは変わらない。

山中元「古代の歴史ロマン(6) サンスクリット文法入門」国際語学社

「サンスクリット文字によるサンスクリット文法書」(同書より)。2004年初版。著者は同社から、文字紹介書や単語集など関連書籍を連続して上梓した。仏教小史から、梵字や他のインド系文字にも触れた文字の紹介、初等文法全般、そして幅広い撰文解釈にまでわたり一冊に収めて安く抑えた意欲的な文法書。

但し、本書だけで学習を進めるのは大いに問題がある。類書初版時の例に漏れず、誤植は一目で散見できる程度にあり、説明文として明らかにおかしい箇所も見つかる。また、ローマナイズに一部独自の表記法を使っており、カナ音写に母音の長短に頓着しない癖があり、変化表にも、稀な双数(両数)より先に頻用の複数を並べるなど、無意味に個性的な点がある。さらに、中東やヨーロッパの諸古典語に造詣のあるらしい著者は、時々シュメール語などの例や各地の神話を引き合いに語るが、古代語マニア以外にとっては迷惑だろうと思われる。

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●辞書

辞書の購入にお金をかけなくても、ちょっとした調べ物なら、オンライン版の辞書が各種、インターネット上で使えるので検索のこと。以下は出版物としての辞書。日本語や英語によるものを挙げたが、他に、フランス語・ドイツ語・ロシア語・ヒンディー語などによるものが、日本でも使われている。

荻原雲来「漢訳対照 梵和大辞典」講談社

本格的な梵和としては、現状唯一のもの。漢訳仏典の訳語との対比が詳しい。見出しはローマナイズ(ラテン文字転写)。名詞複合語がそれぞれ独立の見出しになっている一方、前綴りを伴う動詞がすべて語根の下にまとめられているのが特徴的である。

Monier-Williams「A Sanskrit-English Dictionary」Oxf.Univ.Press

非常に広く用いられている梵英辞典。語義の提示が系統的で、他の印欧語の対応語まで表示してある。見出しは、大見出しのみデーヴァナーガリーとローマナイズの並記。それ以下はローマナイズのみ。様々な版がある。

V.S.Apte「The Practical Sanskrit-English Dictionary」Poona

見出しも例文も、サンスクリットは全てデーヴァナーガリーのみ。伝統文法学の術語で、造語法などを記す。出典の略号だけでなく、文学作品からの非常に豊富な例文があるのが便利。巻末に韻律の種類から格言集や文法用語索引まで六種類の付録あり。

B.B.Vidyalankar,A.Vidyalankar,中島巖編「基本梵英和辞典」東方出版

初学者を対象にした簡明な約8,000語の梵英和辞典。見出しは両字並記。語義に英訳と和訳。巻末には、主な名詞・代名詞・形容詞及び動詞の語形変化表を付す。

2011年、改訂を経た縮刷版が刊行されたので、特に老眼等でお悩みでなければ、それを購入されることをお勧めする。

通常版は内容の割に文字が大きく、ハードカバーなので、目に見やすいが持ち運びには楽でない。また、私の持っている初版本に関して言えば、おそらくは改訂版では修正されていると思われるが、信頼性に関わる問題は少なくない。文字化けや欠け、理由のない文字級数の落差、見出し語の誤り、語形変化表の誤り、重要語や語形変化表にありながら見出し語にない単語があるなどである。少なくとも初版本は、あくまで暗記補助の単語帳として用いるのが好ましい。

なお、訳編者ら関係者の話によれば、初版本は、出版社の予算が付いて出版できる千載一遇の機会に合わせて、予定外に急いで仕上げたために、校正が殆どできなかったのだという。原著者・訳編者の学力の問題ではないということなので、既出の第二版及びそれ以降での改善能力を信頼していただきたい。

Carl Cappeller「A Sanskrit-English Dictionary」

初学者向けの梵英辞典。見出しはデーヴァナーガリーで、例文はなし。見出しにウダーッタ・スヴァリタのアクセント記号を付しているのが特長。

V.G.Apte「Hippocrene Concise Dictionary Sanskrit-English」Hippocrene Books

非常にコンパクトなポケットサイズの梵英小辞典。

Monier-Williams「English-Sanskrit Dictionary」

V.S.Apte「The Students English-Sanskrit Dictionary」Poona

これらは英梵辞典。サンスクリットは語彙が豊富で類義語が多いので、他言語からサンスクリットを引ける辞書が一冊あると便利。前者の初版は1851年で後者の初版は1884年。近代語彙について、後者には「電話」「自転車」くらいまでは入っているが、当然「テレビ」はない。訳語は両者ともすべてデーヴァナーガリー表記。

R.Heinemann「漢梵梵漢 ダラニ用語用句辞典」名著普及会

漢訳密教経典の「漢字で写された」サンスクリットと、もとの綴りとの双方向の対照辞典。

Integral Yoga Institute「Dictionary of Sanskrit Names」Integral Yoga Publications

インドの神話・宗教に登場する2,000余の固有名詞や術語を、英語で釈義する辞書。見出しがすべてローマナイズであるばかりか、その配列もラテンアルファベット順に準じている。合成語の構成や、その語が例えばギーターのどこに出てくるかを示すほか、適宜、用例の詩節そのものを掲載し、その英訳も付けている。

平岡昇修「初心者のためのサンスクリット辞典(Sanskrit Dictionary for Beginnners)
     世界聖典刊行協会

上記「サンスクリット=トレーニング」シリーズの棹尾。単なる「英梵」「梵和」の簡略な語彙集(約8,000語)というに留まらず、サンディ(連声)や動詞語幹の逆引きリストなど、便利な内容を含み、かつ非常にコンパクトである。

山中元「サンスクリット語-日本語単語集」国際語学社

見出し語約5,000語をローマナイズ表記・ラテンアルファベット順で配列したコンパクトな梵和単語集。多少の誤植はまだご愛嬌としても、著者の工夫した特殊な用字法とABC順配列はかえって根本的な難点。

William Dwight Whitney「The Roots, Verb-forms and Primary Derivatives of the Sanskrit language」New Haven / Motilal Banarsidass Publishers

動詞語根集。主な動詞語根の活用形式と一次派生語の一覧。コンパクトだが、詳細な語尾変化表はなく、派生語の語義も載っていない。

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●英語での文法書

日本語で書かれた文法書が多彩になり、日本語母語話者にとって、英語による文法書の必要性は低下している。しかし、英語でサンスクリット文法をどう表現するかを知ったり、基礎文法以外のことを研究するには、まだまだ有用である。

W.D.Whitney「Sanskrit Grammar」Harv.Univ.Press

アクセント法やヴェーダ語を含めた懇切な文法書として、文法の骨格を理解した後で読むと有益。ローマナイズとデーヴァナーガリーを併用する。

M.M.Deshpande「Sanskrit Primer」Michigan Papers on South and Southeast Asia

英語で初歩から学べる文法書の一つ。最初にデーヴァナーガリーの説明をした後は、サンスクリットはすべてデーヴァナーガリーで表記されている。但し巻末の語彙集はローマナイズ。

M.Coulson「Sanskrit -a complete course for beginners」Teach Yourself Books;Hodder & Stoughton Ltd.

初学者から使える英語の文法書。語彙集も含めてローマナイズとデーヴァナーガリーを混用し、練習問題の例文では、デーヴァナーガリーを用いている。

C.R.Lanman「Sanskrit Reader -Text and Vocabulary and Notes」Harv.Univ.Press

デーヴァナーガリーによる古典の抄出の本文と、単語集と、英語による注記から成る、大学等で最もスタンダードとされてきたサンスクリット読本の一つ。

A.A.Macdonell「A Vedic Grammar for Students」Motilal Banarsidass Publishers

サンスクリットの古層である、ヴェーダ語の文法書。

J.S.Speijer「Sanskrit Syntax」Leyden

サンスクリット統辞論の定番。

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●デーヴァナーガリー文字

町田和彦「書いて覚えるヒンディー語の文字」白水社

文法書の中での説明では分かりにくいところも、懇切な説明で知ることができる。

町田和彦編著「華麗なるインド系文字」白水社

主要なインド系文字20種弱の、字形対照比較表と簡潔な説明。書き順と音価付き。古いブラーフミー文字から、北インド系、南インド系、チベット、ビルマ、タイ文字等を網羅している。対照しながら各地の表記を覚えるのに重宝する。

●梵字(シッダマートリカー)

静慈圓「梵字悉曇 慈雲流の意義と実習」朱鷺書房

梵字(シッダマートリカー)は、日本に密教が伝わってきたときの、インド文字の字体。デーヴァナーガリーとはかなり異なる字形を含んでいるので、近代以前の日本での梵語研究を知るためには、これを覚える必要がある。数ある梵字の案内書の中で、この書は良書。

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●文法学の思想

バルトリハリ、赤松明彦訳注「古典インドの言語哲学1・2」東洋文庫

インド文法学の古典の一つ、西暦五世紀頃の「V@akyapad@iya」の和訳と注解。

●パーリ語

水野弘元「パーリ語文法」山喜房仏書林

単なる文法にとどまらず、言語史・研究史の解説に及び、参考文献目録も含む。

水野弘元「パーリ語辞典」春秋社

おそらく唯一のスタンダードな巴和辞典。2005年に増補改訂版が出た。

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(最終更新2021.03.07)

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